コラム
COLUMN
昆布ロードと食文化
皆さんは「昆布ロード」という言葉ご存じでしょうか?
北前航路が拓かれた江戸時代中期から幕末、明治にかけて、蝦夷地(北海道)で収穫された昆布は北前船で富山、京都・大坂へ運ばれるだけでなく、薩摩から琉球を経て、さらには中国(清)まで届けられていました。
日本国内における昆布の生産量は、北海道が約9割を占めています。
昆布は、一大生産地である北海道から船で南へと運ばれ、その途中寄港した土地で独自の昆布食文化が花開くきっかけを残しました。
昆布を運びながら、そのうま味を、日本の食文化を代表する味覚へと大成させた道を昆布ロードといいます。
昆布の産地、北海道の昆布消費量はなんと47都道府県中22位(令和2年データ)。
主に昆布を使っただしや、昆布巻きなどに使われることが多いようです。
消費量第1位の富山県では、とろろ昆布や昆布締めなどで使われることが多く、とろろ昆布のおにぎりや、おでんなどにもとろろ昆布を入れるなど、削って食べる昆布が定着しています。
大阪での特徴は大阪の名産品にもなっている昆布の佃煮のつくだ煮。塩昆布ができたのも大阪が最初でした。汁物以外にも、たこ焼きやお好み焼きなどの粉ものにもだしを入れて作るなど、独自の文化が根付いています。
沖縄の郷土料理クーブイリチーは「クーブ」は昆布、「イリチー」は炒め物を意味し、縁起物の「よろこんぶ」としてお祝いの席でも食べられます。昆布の他に豚肉やかまぼこ、こんにゃくなどを炒め合わせ、しょうゆや砂糖で味付けた家庭料理です。