コラム
「おさしみわかめ」の名付け親
光海藻の代名詞ともなっている「おさしみわかめ」という名称は、会社の草創期だった昭和52年、創業者の一人、原田文夫氏によって名付けられました。
今もそうですが、当時から北海道でワカメといえば、スーパーはもちろん、たいていの魚屋や乾物屋の店先に並んでいて、いつでも手に入るごくありきたりの海産物でした。
高級食品のイメージからはほど遠く、一般家庭で味噌汁に入れたり、酢の物に和えたりして食べるくらいで、これを刺身のようにわさび醤油をつけて、生のまま食べるという習慣はありませんでした。
北海道は昔から全国的に有名な南茅部や日高昆布をはじめ各種海藻の生産地として知られています。そのいわば海藻の本場で、ワカメを、しかもかなりいい値段で販売しているのですから、様々な職場を回っても家庭を訪ねても、初めの頃はまったく相手にしてもらえませんでした。
販売に行った先での、お断りの代表的なものは「浜に親戚がいます」という言葉でした。浜に親戚がいるからワカメには不自由していないという人が多かったのです。
でも、ここで引き下がるわけにはいきませんでした。
「まあ食べてみるだけ食べてみてくださいよ」と言いながら会社や学校を回って試食を配り、ワカメを水で戻し、わさび醤油で生のまま食べる新しい食べ方をせっせと宣伝しました。
光海藻のワカメは産地で選別して送られてきた一級品をさらに自社工場で選別しています。口に入れると柔らかい歯触りに程よいヌメリがあり、淡白な味わいには上品なまろやかさもあります。さらにわさび醤油やドレッシングの用い方によっては、うっすらと自然の甘味さえ感じられるのです。
販売を進めるうちに、「ただ『生わかめ』ではインパクトが足りない。もっとお客様に印象付けるような良い呼び名はないか」ということになり、原田さんの「おさしみのようにして食べるワカメだから、おさしみワカメと呼ぶことにしよう」との提案で「おさしみわかめ」と決まりました。
そして、その翌日から、いままでの単なる「生わかめ」ではなく「おさしみわかめ」と呼ぶようにし、今後、出来るだけこの名称を広め、美味しいワカメの存在を、お客様に知っていただくよう意を注ぐことになりました。
この時から光海藻は「おさしみわかめの光海藻」「光海藻のおさしみわかめ」としてお客様に広く知られるようになり、この名前は次第に定着していきました。
ご注文時にはお客様が「おさしみわかめ」と言おうとして、「光海藻ください」などと言い間違ってしまうまでになったのは、私たちにとっては本当にありがたく、商売冥利に尽きるというものです。